WordPressを好んで使うデザイナーは少なくありません。 しかし、その理由を冷静に見ると、技術的な必然性ではなく作業都合によるものが多いのが実情です。
1. コーディングができないデザイナーほどWordPressを使う
経験上、WordPressを強く推すデザイナーの多くは、 HTMLやCSSのコーディングが苦手、あるいは全くできません。
制作の流れはこうです:
- デザイナーがデザインデータを作る(主にPhotoshopやFigmaなど)
- 外注のコーダがそのデザインをWordPressで実装
- 完成サイトをデザイナーが「納品物」として顧客に提示
この仕組みにより、デザイナー本人は コードを一切触らずにサイトを完成できるわけです。
修正が入っても、WordPressにログインして直すのはコーダ。 デザイナーは指示を出すだけで済むため、効率的に見える構造ができ上がります。
▶ つまり、WordPressを使う理由は「自分がコードを触れないから」というケースが多い。
2. 顧客の都合ではなく、制作者の都合でWordPress化される
本来、CMSは「顧客が自分で更新できるようにする」ための仕組みです。 しかし現実には、顧客が更新しないサイトでもWordPressが導入されることがあります。
これは多くの場合、 「デザイナーがコーディングできないからWordPressを使う」という構造によるものです。
結果として:
- サイトの初期構築コストが上がる
- セキュリティ更新などの管理コストが増える
- 不要な管理画面やデータベースが増え、リスクも上がる
▶ 顧客のためではなく、制作者の都合でCMS化されるケースが問題。
3. WordPressは軽くない。サーバーとメンテナンスコストが増える
WordPressはPHPとMySQLで動作するため、 静的HTMLサイトに比べてサーバーリソースを消費します。
また、ページを追加・修正する場合もWordPressのテンプレート構造やテーマ仕様に沿う必要があり、 「修正コストが高くつく」という側面があります。
つまり、顧客にとっては以下の不利益があります。
| 項目 | 静的サイト | WordPressサイト |
|---|---|---|
| 初期構築コスト | 低い | 高い |
| サーバースペック要求 | 低い | 中〜高 |
| 更新・修正の手間 | HTML編集のみ | テーマ構造に依存 |
| セキュリティ管理 | ほぼ不要 | 常に更新が必要 |
▶ CMSを導入するだけで「動的な負荷」「更新作業」「脆弱性管理」という負担が増える。
4. 技術不足を補うためのWordPress依存は危険
WordPressを使うこと自体は悪ではありません。 問題は「なぜ使うのか」が説明できないケースです。
「デザインは得意だけどコードは苦手」という理由でWordPressを選ぶのは、 顧客のコストとリスクを制作者側が押しつけている構造です。
▶ 制作手段は顧客の目的に合わせて選ぶべきであり、
▶ 制作者のスキル不足を理由に選んではならない。
まとめ
WordPressは便利なツールですが、 すべてのサイトに必要なわけではありません。
- 更新しないサイトなら静的で十分
- 目的が明確であれば軽量なCMSや自動生成型の方が安全
- WordPressしか提案できないデザイナーは、選択肢を持っていない可能性が高い
WordPressを使う理由が「顧客のため」ではなく「制作者の都合」になっていないか。
その一点を確認するだけで、無駄なコストとリスクを避けられます。